疾患構造の変化とともに患者が複数の疾患に罹患し、複数の薬剤を併用することが少なくない。薬剤の併用が珍しくないことから、それにより利益、不利益を総称して「相互作用」と呼んでいる。 抗菌薬、とくにニューキノロン薬はアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)を含む制酸剤あるいは鉄剤との併用により吸収・排泄に影響を受け、biovailabilityが著明に低下することなども「相互作用」として解明されなければならない。 すなわち、ニューキノロン薬と金属カチオン含有の制酸剤との併用によりCmax(最高血中濃度)の著明な低下、Tmax(最高濃度到達時間)の延長、AUC(血中濃度曲面下面積)の著しい減少などの血中濃度の変化が認められることが知られている。しかし、その程度はニューキノロン薬ごとに大きな差が認められる。 今までノルフロキサシン(NFLX)、シプロフロキサシン(CPFX)では影響は大きく、呼吸は低下、併用により測定限界値(臨床効果が期待できない値)まで低下するが、オフロキサシン(OFLX)では影響は少なく、エノキサシン(ENX)はその中間にあたることを報告している。 今年度においてはニューキノロン薬と鉄材の併用により両薬の影響について検討を行った。一般的にニューキノロン薬は鉄材との併用により大きく影響を受けることを明らかにしたがトスフロキサシン(TFLX)での影響は少なく今後一層の検討を必要とする。 ニューキノロン薬の腎排泄機序を知る目的にプロベネシドを用いて検討を行った。排泄機序としては糸球体濾過とともに尿細管分泌により排泄されると考えられる成績を得た。
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