本年度、ヒト遺伝子特異的糖質コルチコイド反応性調節因子(GMEB)の活性調節を検討した結果、臓器の種類によりGMEBの活性が異なっていることを見いだした。さらに、いくつかのステロイド骨格をもった物質により、GMEB活性が調節されうることがわかってきた。この調節は免疫担当細胞や肝細胞、神経細胞など臓器の種類によりその程度が異なっており、これを応用することにより、当初目的としていたGMEBの臨床応用、すなわち副作用を低減させうる選択的ステロイド療法にたいしての見通しを立てえたこととなる。また、GMEBがin vitroで結合するDNAシークエンスをスクリーニングした結果、複数のシークエンスが明らかになりつつある。これを既にジーンバンクに登録されているgenomicDNAのシークエンスで検索したところ、いくつかの遺伝子がそのシークエンスをもっており、それらの遺伝子がGMEBにより糖質コルチコイド反応性につき選択的調節をうける可能性が見いだされた。これらGMEBの標的遺伝子の存在を確認するとともに、その糖質コルチコイド作用との接点が今後の研究課題である。
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