糖質コルチコイドは、多くの重要な副作用があるにもかかわらず、他に有効な薬剤のないために広く使用されている重要な治療薬剤である。本研究では、我々は糖質コルチコイドの反応性を調節する因子、すなわち糖質コルチコイド反応性調節因子(GMEB)のクローニングとその調節を解明し、ヒトにおける糖質コルチコイド治療に包容するための基礎的検討を行ってきた。糖質コルチコイド反応性調節因子は糖質コルチコイド反応性調節因子-1と糖質コルチコイド反応性調節因子-2により形成されるヘテロの二量体である、細胞質と核に存在することが明らかになった。精製の結果、糖質コルチコイド反応性調節因子-1は68KDa、糖質コルチコイド反応性調節因子-2は88KDaの蛋白であった。おのおののcDNAのクローニングから、これらの因子は全く新しい蛋白であった。また、糖質コルチコイド反応性調節因子は転写因子として、塩基配列特異的にDNAに結合することが判明し、in vitiroではGCGA/CNNNG/TCGCというパリンドロミックな配列に結合しやすかった。糖質コルチコイド反応性調節因子の生物活性は細胞の生育条件で変化するのみならず、いくつかの漢方製剤で臓器特異的に増強された。これらの研究成果より、糖質コルチコイドの遺伝子特異的な作用機序の詳細が明らかになったのみならず、糖質コルチコイド治療における確実で副作用の少ない新たな治療法の開発の基盤が整ったと考えられる。
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