研究課題/領域番号 |
07670564
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田川 まさみ 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (90261916)
|
研究分担者 |
江畑 稔樹 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (20280919)
横須賀 収 千葉大学, 医学部, 講師 (90182691)
|
キーワード | アヒルB型肝炎ウイルス / 遺伝子発現ベクター / ヘパデイナウイルス |
研究概要 |
肝細胞特異的増殖性と持続感染性を有するB型肝炎ウイルスを用いた新しい遺伝子発現ベクターの開発の試みとして、動物実験モデルであるアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)の変異株を作製してアヒルにおける遺伝子の発現について検討を行った。まず野性株DHBVを用いた実験で、plasmid DNA-liposome複合体を孵化後1日目のアヒル雛の末梢血管より投与したところ、DHBV DNAの高い肝細胞特異的遺伝子発現効率が確かめられた。次いでpreC領域に変異を有するDHBV DNAをcloningし、野性株DHBV DNAと比較した。PreC領域に1塩基を挿入したDHBV DNAをアヒル雛に同様の方法で接種したところ、肝内でウイルス関連遺伝子の発現及びウイルスの増殖が認められ、血中に変異型ウイルスの分泌が確認された。ウイルスの分泌は16週間以上認められ持続感染が成立したと考えられたが、ウイルス量は野性株に比べ低い傾向が認められた。10μg DNA投与時の急性及び慢性毒性は軽微であった。病理学的検討では野性株感染アヒルの肝組織はごく軽度のリンパ球浸潤を認めるのみであったが、preC変異株感染アヒルの中に慢性肝炎に相当するリンパ球浸潤と軽度の繊維化を示すものがあり、preCと病原性の関係が示唆された。HBVの病原性を解析する上でも、また、ベクターとしての応用を考える上でも今後の検討を要することが明らかとなった。一方、24塩基をpreC領域に挿入した変異株を用いた実験では、接種2週間後に血中で検出されたウイルスは野性株であり、発現しうる外来遺伝子の長さと挿入部位、挿入する遺伝子の種類について遺伝子の安定性を含めた解析を要することが示された。
|