我々は以前アクチビンAが肝細胞の増殖抑制に関与していることを報告したが、その臨床的応用を考え、アクチビンAと1対1結合を有し、アクチビンAの効果を阻害するフォリスタチンが果たしてin vivoの系で作用するかどうかを検討した。肝切除ラットモデルを作成し、門脈からフォリスタチンを注入した。コントロールラットは細胞周期も促進され(BrdUでフォリスタチン群は18時間後で発現するのにコントロール群では24時間から36時間後にしか発現しない)しかも、コントロール群に比べ、フォリスタチン群は血清アルブミン値及び血糖値も早期に回復した。さらに肝細胞におけるアクチビンAは肝細胞に対してどのような受容体を有しているかどうかを検討した。アクチビンAが肝細胞に対して特異的な受容体を有しており、TGFβと同様にtype1及びtype2受容体が存在するようである。しかもlow affinityの結合部位はフォリスタチンの結合するところであると思われる。これらのことからアクチビンは肝細胞増殖において、抑制的に作用し、その効果を抑制するフォリスタチンを用いて、細胞増殖を促進することも可能であることが判明した。更に我々はLECラットあるいは劇症肝炎モデルを作成しin vivoの系でもアクチビンAが劇症肝炎の機序と深い関わりがあり、しかもアクチビンAと拮抗して作用するフォリスタチンが劇症肝炎の治療に用いられる可能性も証明するように現在検討しているところである。
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