研究課題/領域番号 |
07670567
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川邊 隆夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (40195136)
|
研究分担者 |
金井 文彦 東京大学, 医学部(病), 医員
多田 稔 東京大学, 医学部(病), 医員
|
キーワード | 膵癌 / 遺伝子診断 / ras遺伝子 / 膵管過形成 / PCR |
研究概要 |
1.K-rasコドン12の点突然変異が膵癌の約90%に認められることを利用して、PCRを用いた膵癌の遺伝子診断法を開発した。この手法により正常型遺伝子の1万〜10万分の1という極微量しか含まれていない変異型遺伝子も検出可能となったが、膵管上皮の過形成組織においても臓癌より低頻度(20〜30%)ではあるものの変異型遺伝子が検出されることが判明した。そこで膵管過形成のパラフィン包埋切片からDNAを抽出し、過形成における点突然変異の頻度とそれにより変化するアミノ酸の種類および過形成組織型との関連を計79検体について調べた。全検体中の頻度は24%(19/79)であり、これを過形成の組織型によって分類したところ、非乳頭状過形成では30%(6/20)、乳頭状過形成では24%(12/51)そして異型上皮では13%(1/8)であり、組織型と遺伝子変異の頻度との関連は明らかではなかった。また変異型の内訳に関しては、膵癌においては頻度の低いGGT(Gly)からTGT(Cys)への変異が過形成検体では多く認められたが、その他には組織型との関連も含めて特定の傾向は認められなかった。 2.過形成由来の細胞も変異型遺伝子を持ちうることが認められたが、膵癌と非膵癌においては変異を持つ細胞の絶対量に差がある可能性が考えられた。そこで新たに半定量が可能となるようにPCRの条件を設定し、膵液を解析して膵癌の診断に応用できるかを検討した。既知量の変異ras遺伝子を持つ検体をコントロールとして使用し、以前に設定した変異rasのみを定性的に検出するPCR法のサイクル数を調節することにより、変異ras遺伝子が0.1〜10%の範囲であれば再現性を持って半定量することを可能とした。この方法で膵液を解析したところ、変異ras遺伝子の割合は膵癌8例中3例は1%超であるのに対して非膵癌9例では全例1%以下であり、1%を境界とすることにより膵癌の診断に役立つ可能性が示された。
|