研究課題
基盤研究(C)
ストレス蛋白は自己免疫疾患のpathogenesisに深く関与することが知られ、関節炎モデルではストレス蛋白に特異的なT細胞の存在が報告された。自己免疫疾恵の原因抗原を細菌やウイルスと共通性をもつ自己成分に求める考え(morecular mimicry)があり、conservativeな蛋白であるストレス蛋白を原因抗原に想定することはこの観点にも沿う。研究代表者らは、自己免疫性肝炎の病態成立におけるストレス蛋白の意義は明らかにすることを目的に、抗ストレス蛋白自己抗体について検討した。即ち、自己免疫性患者の血清中には抗ストレス蛋白自己抗体が出現し、肝炎の発症、増悪、慢性化に関与するのではないかとの作業仮説をもとに、ELISA法による本抗体の検出を検討した。ストレス蛋白のうちHSP70を固相化し、protein Aでこれに結合するlgG型自己抗体を検出する系を確立した。この系は市販の抗HSP70モノクローナル抗体を200倍から800倍希釈で再現性よく検出した。そこで25例の自己免疫性肝炎患者の血清と5例の健常対照者血清とをこの系で検討し、25例中5例を陽性と判定した。このELISA系は患者血清を用いた場合、モノクローナル抗体に比べてバックグラウンド値が増加するようで予想より低い陽性率に留まった。研究代表者らは自己免疫性肝炎の抗類洞内皮細胞抗体の研究も併せて行った。研究結果は別紙の報告とした。
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