【目的】障害性T細胞(CTL)によるHCV感染肝細胞の破壊がC型慢性肝炎の病態の主体をなしていると推定されている。CTLによる細胞障害機序としてはパ-フォリン/グランザイム系とFasリガンド/Fas系の二つの独立した系がある。Fasリガンド/Fas系についてはC型慢性肝炎への関与が報告されているが、今回、我々はパ-フォリンの系も含めてC型慢性肝炎におけるCTLの細胞障害機序を検討した。 【方法】C型慢性肝炎患者15例のヒト肝生検組織を用いた(内インターフェロン治療例は4例、いずれも著効)。RNAを抽出後、random hexamer でreverse transcription を行い、パ-フォリン、Fasリガンド、およびCTLマーカーとしてCD8のmRNAを各々の20-50bpの欠失を有する既知の濃度のcDNAとともに6-FAM標識primerを用いたPCRにて増幅した。増幅産物は373A DNA Sequencer + Genescan software676(Applied Bi csystems)にて定量を行った。 【成績】パ-フォリン/CD8比、Fasリガンド/CD8比ともC型慢性肝炎例で有意な上昇を示した(p<0.05)。Fasリガンド/パ-フォリンと血清ALT値には正の相関が認められた(r2=0.91)。 【結論】パ-フォリン/グランザイム系、Fasリガンド/Fas系いずれもがC型慢性肝炎で活性化されることが明らかとなり、炎症の高度な場合はFasリガンド/Fas系が優位に関与する可能性が示唆された。
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