大腸癌細胞株(WiDr:コドン273番にミスセンスを有している)にサイトメガロウイルスのプロモーター下で発現する野生型p53cDNAを組み込んだプラズミドベクターをトランスフェクションして得た117個のネオマイシン耐性クローンをスクリーニングし、最終的に8個の導入株を獲得した。 平成7年度においてはこの系を用いてp53、Fasの両反応経路からのアポトーシス誘導機構の検討をさらに発展させた。つまりp53とWAF1・GADD45そしてFasとTNFR・NFκBさらに両者の関係であり、野生型p53遺伝子発現の程度がWAF1遺伝子発現の程度と相関することを見いだしており、そこまでの成果をOncogene誌に発表した。(別紙参照) (1)現在8種のクローンの内最も野生型p53の発現が高度な株(Kobe-B)を用いて抗Fas抗体によるアポトーシスの誘導後早期の変化を細胞周期を中心にフローサイトメトリーで評価し親株(WiDr)と比較しており若干の知見を得ている。 (2)実際の大腸癌の臨床検体を用いてTUNNEL法でアポトーシスを評価しp53rasなどの大腸癌関連遺伝子との関連を評価しており、その形態との関連により若干の知見を得ている。 これらを併せて次年度の最終報告とする。
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