研究概要 |
1.NF-κBを介した遺伝子発現について モルモット胃底腺より調整した培養胃粘膜細胞を用いて,酸化ストレスに誘導されるストレス関連蛋白質の解析とその遺伝子発現の研究の中から、胃の粘液分泌細胞は、NF-κB様の活性を持つことを見いだした。本年度は、さらにNF-κBのコンポーネントの同定を行った。p105,p65,p50,及びc-Relの抗体を用いて、Western blottingにより胃粘膜細胞はこれらすべてのコンポーネントを発現している事を確認した。酸化ストレスにより出現してくるNF-κB活性は、p65とp50のヘテロダイマーにより行われていることをゲルシフトアッセイのsupershift実験により確認し、cross linkingによりNF-κBモチーフに結合するNF-κBのコンポーネントとして、p65とp50を確認した。さらに、免疫組織染色を行い、p65とp50の存在を確認し、酸化ストレスにより細胞質から核内への移行も確認した。p50の前駆体蛋白質であるp105のmRNAの発現と蛋白質の誘導を確認したが、p105はオートレギュレーションすることが知られており、NF-κBの活性化に伴う遺伝子発現として、まず、酸化ストレスによりp105のオートレグギュレーションをmRNAと蛋白質レベルで確認した。このように、NF-κBの活性化機構については多くの成果を上げることができ、現在論文作成中である。 2.p43の精製と同定 酸化ストレスにより誘導される新しいストレス蛋白質としてp43を見いだし、その精製と同定の作業を行った。二次元電気泳動法による分離と、ニトロセルロース膜に転写したp43のN末端アミノ酸シークエンスを行ったが、N末端がブロックされており同定できなかったのでプロテアーゼにより切断したペプチドのシークエンスの解析作業を行っている。この作業が、来年度の重要な作業となる。
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