研究概要 |
C型肝炎において、リンパ性樹状細胞(LDC)の抗原提示機能が低下しているかどうかをみるために,マウスの脾細胞より単離したリンパ性樹状細胞にアデノウイルスベクターをもちいて、C型肝炎ウイルス遺伝子を導入し、そのHCV遺伝子が発現すると、抗原提示機能が低下するかどうかをみた。初年度は、アデノウイルスベクターを用いて遺伝子を効率よくLDCに導入できるかどうかをみるためにLacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスAdex 1 CA Lac Z(東京大学医科学研究所斉藤泉助教授より供与)を用いて、その発現を検討した。 (方法)マウス(C57 BL16)の脾臓よりSteinman-Inabaの方法でLDCを単離した。単離したLDCにAdex 1 CA Lac Zを感染した。また、コントロール群として導入遺伝子を持たないアデノウイルスAdex MW1(東京大学医科学研究所斉藤泉助教授より供与)を感染させた。両群のLDCを固定後x-galで染色した。 (成績)LDCに感染させるアデノウイルスが通常量では充分な遺伝子導入ができなかったが、感染させるウイルスの力価を上げる(moi 60以上)ことにより80%のLDCに遺伝子導入が可能であった。 (結論)HCV遺伝子をLDCに導入する方法としてアデノウイルスベクターを用いることが最善であることを確認した。またHCV遺伝子のコアーエンベロープ領域の遺伝子をトランスフェクションしたアデノウイルス(国立予防衛生研究所宮村達男部長より供与)を増幅した。このアデノウイルスを用いてLDCにHCV遺伝子を導入しLDCのMHC class IIの発現が変化するかどうか、又LDCの抗原提示能が低下するか否かを、現在検討中である。
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