メバロン酸代謝産物は、ras蛋白活性化などを介して細胞増殖に強く関与しており、メバロン酸合成の律速酵素であるHMG-CoA reductase阻害剤は正常細胞や癌細胞の増殖抑制に働くと考えられる。 正常肝細胞(ラット初代培養肝細胞)に対する影響。 平成7年度、HMG-CoA reductase阻害剤の癌細胞増殖抑制効果を4種の肝癌細胞株により示した。しかしこの効果の発現には、細胞内へHMG-CoA reductase阻害剤が輸送される必要があり、細胞内輪送の際、anion transporterが必要とされるPravastatinにはその効果を認めないことを示した。癌細胞においては、細胞内代謝過程に様々な変異が生じていることが予想され、HMG-CoA reductase阻害剤の増殖抑制効果の機序が検討しにくい。そこで今回、正常培養肝細胞を用い、EGF刺激によるDNA合成と核クロマチン染色によるApoptosis誘導に対するHMG-CoA reductase阻害剤の効果を検討した。その結果、Pravastatinは10μMの濃度においてDNA合成を60%抑制し、またApoptosisを起こした細胞の出現率はコントロールに対し約10倍であった。
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