研究概要 |
食欲の調節に関しては,グルコース,各種の代謝物質,ペプチドやホルモン,神経伝達物質等が調節物質として働いていることが解明されてきた.その中で,脂質も重要な調節因子と考えてきた.脂質の経口摂取後の食欲抑制機構に関しては,吸収前に十二指腸粘膜の受容体を介する,摂取した脂質のエネルギー量に応ずる等の報告がなされているが,いずれもそれだけでは十分な説明ができない.平成7年度の研究において,(1)脂質の吸収後の因子が食欲抑制に重要であること,(2)脂質の吸収後の小腸内の合成とリンパ管への移送が増加するアポ蛋白A-IVが,摂食中枢を介して脂質の経口摂取後の食欲抑制に重要な働きをすること,等を証明した. 平成7年度の研究で脂質の経口摂取後の食欲抑制に吸収後の因子が重要であり,そのなかでもアポ蛋白A-IVが重要であることを示した.当初、計画していた実験は遂行でき,ほぼ予想通りの結果を得た.平成8年度は,以上の平成7年度の実績にもとずき、遺伝性肥満ラットにおける摂食調節機構における脂質吸収後の因子,特にアポ蛋白A-IVの関与を解明する.そのことで脂質吸収機構の肥満症発症機構に及ぼす影響を検討する。
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