研究概要 |
今年度はアルコール性肝障害と微小循環系の変化について、hemodynamicsの観点より、さらに実験的、臨床的に検討した。実験的には、各種濃度のEtOHをラットに門脈より持続注入し、肝微小循環障害と酸素消費の観点から、生理学的、形態学的に検討した。その結果、EtOH投与時の肝微小循環および酸素消費には濃度により異なる反応性が存在すると考えられ、低濃度では早期の血流低下からの回復を惹起する血流保持機構が作動することが明らかとなった。また10%以上の濃度では30分以後組織レベルでのうつ血が発生し、酸素消費も低下する傾向にあることが予測された。臨床的研究では、患者血液を用いて検討し、アルコール性肝障害の進行に伴い血小板数の低下、平均血小板容積の増大、血小板凝集能の亢進が認められ、血清-膜脂肪酸組成に解離、特に膜脂肪酸組成変化により、血栓形成促進傾向にあると考えられた。これらの結果は、1995.8.第30回日本アルコール医学会、1996.2.第16回アルコール医学生物学研究会、1997.2.第22回日本微小循環学会にて口頭発表し、アルコールと医学生物学Vol 15,pp92-97,1995、Alcoholism 20(1):56-59,1996において誌上発表した
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