研究概要 |
モルモット単離壁細胞の実験系を用いて以下の研究成果を得た。 1.局所麻酔薬であるprocaineとoxethazaineの壁細胞に対する直接作用を検討した結果、前者はcholine作動薬であるカルバコールに類似した刺激効果を示し、後者は非競合的にmuscarine受容体とは無関係な機序によって抑制効果を示すという成績を得、両者の局所麻酔薬としてのpotencyの差(後者は前者の4000倍のpotency)、構造式の差などが関係していることが推測された。 1)procaineはカルバコール刺激の酸分泌に対し、10^<-5>Mで最大となる相乗効果を示した。またprocaine単独でも10^<-5>Mで最大となる酸分泌刺激効果を示し、この効果はatropineによって濃度依存性に抑制された。 2)oxethazaineはカルバコール刺激の酸分泌反応を濃度依存性に抑制し、3.5×10^<-7>M以上の濃度においてはコントロール以下のレベルにまで抑制した。 3)oxethazaineは、カルバコールのdose-response curveを、最大反応を抑制しつつ右にshiftさせた。 4)oxethazaineは、単独で濃度依存性に酸分泌反応を抑制した。 2.壁細胞に存在するprotein kinase C(PKC)のサブタイプを検討した結果、壁細胞にはα,γ,ζの3分子種が存在すること、そしてこのうちαとγが酸分泌に関与していることを示唆する成績を得た。 1)ラット脳より抽出されたPKC各サブタイプのcDNAをプローブとしてnothern blot analysisを行った結果、α,γ,ζの3分子のmRNAの遺伝子発現を認めた。 2)PKCの関与が知られているカルバコール刺激とガストリン刺激においてαとγのmRNAの増加が認められ、ζのmRNAには何ら変動が認められかった。
|