【目的】開発した小型セラミック超音波発振素子と大腸癌細胞株colon26および大腸癌細胞株colon26移植担癌マウスを用い、消化器癌に対する音響化学療法の効果を判定し、大腸癌に対する治療法の有効性を検討した。 【方法】実験1.大腸癌細胞株colon26を試験管に分注し、Photofrinを添加。小型セラミック超音波発振素子付きカテーテルを培養液中に挿入し、超音波を作動させ、連続照射した。照射直後検体の生細胞比率を算定した。 実験2.大腸癌細胞株colon26をBALB/cマウス4週齢の鼠径部に移植し2週間の担癌の後、Photofrinを腹腔内投与した。腫瘍は平均1cm大に成長。この腫瘍に対し小型セラミック超音波発振素子付きカテーテルを接触させ、超音波を照射した。照射直後検体の組織学的変化をヘマトキシリンエオジン染色にて確認した。 【結果】結果1.colon26細胞のPhotofrin単独投与群では生存率に変化は認められず、超音波単独投与群では照射時間に相関して生存率は低下した。Photofrin+超音波照射併用群では薬物濃度の増加に伴い生存率はさらに低下した。 実験2.移植腫瘍に対するPhotofrin単独投与群では組織の壊死は認められず、超音波単独投与群では照射時間に相関して壊死所見を認め、Photofrin+超音波照射併用群では薬物濃度の増加に伴い壊死所見は拡大した。 【結論】大腸癌細胞株を用いた今回の実験結果より、音響化学療法の消化器癌に対する著明な抗腫瘍効果が認められた。我々は体内挿入可能な小型セラミック超音波発振素子を用いており、消化器癌に対する新しい内視鏡的治療手段として期待される。
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