膵線維化機序の研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670638
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 産業医科大学
• 研究代表者: 大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
• 研究分担者: 井本 逸勢 産業医科大学, 医学部, 助手 (30258610)
• キーワード: 慢性膵炎 / 膵線維化 / アルギニン膵炎 / オレイン酸膵炎

研究概要

平成7年度は、実験モデルの作成ならびに実験系の確立を目的に検討した。
(1)実験モデルの作成
アルギニン反復投与およびオレイン酸膵管内逆行性注入にて慢性膵外分泌不全ラットを作成し、その生化学的、組織学的変化について6ケ月後まで経時的に検討した。いずれの膵炎モデルでも、膵実質は不可逆的に荒廃し一過性の線維化を呈した後、脂肪組織に置換され、慢性膵外分泌不全ラットとして用いうるモデルであることを明らかにした。
1)アルギニン反復投与による慢性膵外分泌不全ラット
18時間絶食にしたWistar系雄性ラットに、アルギニン500mg/100g体重を3日おきに5回腹腔内投与して作成した。
2)オレイン酸膵管内逆行性注入による慢性膵外分泌不全ラット
18時間絶食にしたWistar系雄性ラットの膵管内に、オレイン酸50μlを逆行性に注入し作成した。
(2)膵に於けるmRNAレベルの測定についての基礎的検討
Northern blot hybridizationにより膵におけるmRNAレベルの測定を行うに当たり、膵から効率良くRNAを回収する方法を検討した。また実際にprobe(^<32>Pによりランダムプライム法にてラベル)を用いてpreliminaryにNorthern blot hybridizationを行った。
膵はRNaseの含量が多いことからintactなRNAを回収することは困難であるが、AGPC法を用いて膵よりintactなRNAを回収する方法を確立した。膵酵素(アミラーゼ、トリプシン)ならびにCCK-Aあるいは-B受容体のcDNAをprobeにしたNorthern blot hybridizationによりこれらのmRNAが単一のbandとして検出され、さらに同時にβ-アクチンを検出することにより定量化が可能になった。

研究成果

• [文献書誌] Akiyama T., Tachibana I., Otsuki M., et al.: "Phamacological profile of TP-680, a new cholecystokinin-A receptor antagonist." Br. J. Pharmacol.117(accepted for publication). (1996)
• [文献書誌] Shirohara H., Tabaru A., and Otsuki M.: "Effects of intravenous infusion of amino acids on cholecystokinin release and gallbladder contraction in humans." J. Gastroenterol.31(accepted for publication). (1996)
• [文献書誌] Tachibana I., Okabayashi Otsuki M., et al.: "Ethanol inhibits CCK-induced enzyme secretion by affecting calcium pump activity in isolated rat pancreatic acini." Pancreas. (accepted for publication). (1996)
• [文献書誌] Akiyama T., Tachibana I., Otsuki M., et al.: "High-fat hypercaloric diet induces obesity, glucose intolerance and hyperlipidemia in normal adult male Wistar rat." Diab. Res. Clin. Pract.(accepted for publication). (1996)