体重150-160gのWistar系雄性ラットにL-アルギニン500mg/100g体重を単回腹腔内投与して膵炎モデルを作製し、膵炎作製前、作製24時間、36時間、48時間、60時間、3日、5日および7日後にラットを屠殺し速やかに膵臓を摘出後、acid guani dum-p henol-chl oroform(AGPC)法を用いてRNAを抽出した。膵炎作成後のTGF-βおよび細胞外マトリックス(フィブロネクチン、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン)のmRNAの発現の推移をNorthern blot analysisおよびreverse transcriptase polymelase chain reactionを用いて検討した。TGF-βのmRNAの発現は膵炎作製後48時間後に最大となり、7日後まで発現が持続した。フィブロネクチンのmRNAの発現増加は膵炎作製48時間後から認められ、60時間後に最大となり、3日後には著明に低下した。I型コラーゲンの発現増加は膵炎作製48時間後から認められ、5日後に最大となった。III型コラーゲンの発現増加は膵炎作製48時間後から認められ、3日後に最大となり、7日後も発現増加は持続した。IV型コラーゲンの発現増加は膵炎作製60時間後から認められ、5日後に最大となり、7日後も発現増加は持続した。TGF-βの発現が細胞外基質よりも早期に認められたことから、TGF-βが細胞外基質であるI型、III型、IV型コラーゲンおよびフィブロネクチンの産生に関与し、TGF-βおよび細胞外基質が膵炎後の線維化に関与することが示唆された。
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