研究概要 |
本研究は気管支喘息における気道浸潤CD4陽性T細胞活性化の機序を明らかにするため、喘息患者気道浸潤CD4陽性T細胞のT細胞レセプター(TCR)のVβ遺伝子レパトアを解析することにより、以下の3点を明らかにすることを研究目的とした。すなわち、1.気道浸潤T細胞のTCR Vβレパトアがオリゴクローナルか否か、2.スーパー抗原の関与による活性化があるか否か、および3.TCRのCDR3領域の核酸塩基配列に共通性があるか否かを検討した。 方法は、非アトピー型気管支喘息患者気管支肺胞洗浄液(BALF)中のCD4陽性T細胞を用い、気道浸潤T細胞のFamily PCR法によるTCR Vβ遺伝子レパトアの解析とSSCP(single-strand conformation polymorphism)法によるTCR Vβ遺伝子クロナリティの解析を行った。さらにSSCP法で同定されたTCR Vβ cDNAクローンのCDR3領域核酸塩基配列の解析を行った。 その結果、1.非アトピー型喘息患者の気道浸潤T細胞のTCR Vβレパトアはオリゴクローナルであり、またスーパー抗原による活性化は否定的であった。すなわち、BALF中クローン数(8.9)はPBL中クローン数(2.9)より増加しており、とくにVβ6,Vβ14,Vβ15とVβ17が増加していた。2.また同患者の末梢血T細胞でも同じTCR Vβクローンのオリゴクローナルの増加が認められた。3.さらにCDR3領域核酸塩基配列ではPXGというモチーフの増加が認められた。したがって、非アトピー型喘息患者の気道浸潤T細胞が抗原刺激により活性化されていることが明らかにされた。
|