研究概要 |
本研究では、交感神経遮断薬、蒸留水およびアルコールに対する特異的気道過敏症の病態生理について、それぞれの動物モデルを作成し、以下の研究成績を得た。 1.アルコール誘発喘息の機序 1)エタノールには気管支収縮作用はなく、その代謝産物であるアセトアルデヒドが気管支収縮を生じる。 2)アセトアルデヒドは、ヒスタミンの遊離を介して気管支収縮を生じる。 3)低用量のアセトアルデヒドは、気管支収縮を生じないが、非特異的気道過敏性を亢進する。 4)アセトアルデヒドによる非特異的気道過敏性亢進には、トロンボキサンA2が重要である。 2.交感神経遮断薬に対する特異的気道過敏性の動物(モルモット)モデルの作成と自律神経系,ケミカルメディエーター、ニューロペプチドの関与 1)受動感作モルモットに抗原を吸入し、その20分後にプロプラノロールを吸入負荷すると、著名な気管支収縮が生じた。この動物モデルは,世界ではじめてのモデルである。 2)この反応には、副交感神経およびα-交感神経活動の関与はない。 3)この反応には、サブスタンスPやニューロキニンの関与はない。 4)この反応には、トロンボキサンA2の関与が大きく、ロイコトリエンや血小板活性化因子も関与する。 3.蒸留水吸入に対する特異的気道過敏性の動物(モルモット)モデルの作成と自律神経系、ケミカルメディエーター、ニューロペプチドの関与 1)受動感作モルモットに抗原を吸入し、その20分後に蒸留水を吸入負荷すると、著明な気管支収縮が生じた。この動物モデルは,世界ではじめてのモデルである。 2)この反応には、副交感神経の関与はない。 3)この反応には、ヒスタミンとサブスタンスPの関与が重要である。 4)この反応には、トロンボキサンA2の関与はない。
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