研究概要 |
方法 CEA遺伝子蛋白翻訳開始点から-424から-2番目の塩基配列を含むDNAフラグメントを、LacZ遺伝子あるいはHSV-TK遺伝子と共にアデノウイルスベクターに組み込んだ.コントロールプロモーターとしてサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを用いた.各々AdCEALacZ、AdCEATKとAdCMVLaczと命名した. CEA産生癌細胞株VMRC-LCDR及びLoVoとCEA非産生癌細胞株HeLaをAdCELacZ、AdCMVLacZにより20moiで感染さえ、72時間後単位蛋白量あたりのσnitrophenol-β-D-galactosidase(ONPG)のgalactoseとchromophore σnitrophenolへの転換を測定した。 各種細胞株を20moiでAdCEATKあるいはAdCMVLacZに感染させ、GCVを種々の濃度で添加、5日後、MTT法にて生存細胞数を計測した。AdCEATK感染細胞生存数のAdCMVLacZ(コントロールベクター)感染細胞生存数に対する比率を計算した。 結果 用いた全細胞株でCMVプロモーターによる非常に強いβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の発現がみられ、3細胞株種間で差はなかった。しかしCEAプロモーターによる発現はCEA生産癌細胞株LoVoではCEA非産生性細胞株のHeLaよりも有意に強く(0.50±0.07vs0.15±0.03U/min/μg protein,p<0.05)、またVMRC-LCDではHeLaより強い傾向がみられた。 培地中GCV濃度20μMでは感染細胞の生存率はLoVo55%に対してHeLaは73%でありLoVoにはHeLaよりもガンシクロビルに対して強い感受性が導入される傾向がみられ、今後されにin vivoでのGCV投与量、時期の検討が必要と考えられる。
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