1) ヒト肺動脈平滑筋細胞(Human Pumonary Artery Smooth Muscle Cells ; HPASMC)の分離培養はすでに剖検材料より得ており培養細胞が平滑筋であることをα-actinを染色し証明した。 2) HPASMCはLPS、IL-1β、TNFαなどと培養することにより培養開始後3-24時間にはNOの産生が有意に高まりかつLPSやサイトカインの濃度に依存していた。 3) HPASMCはLPS、IL-1β、TNFαなどと培養することにより培養開始後3-24時間にはPGI_2の産生が有意に高まりかつLPSやサイトカインの濃度に依存していた。 4) IFNγはHPASMCのNOやPGI_2産生を促進しなかった。 5) HPASMCがNOを産生するに必要なLPSやサイトカインはPGI_2を産生する際よりもより高濃度が必要であった。 6) HPASMCはトロンビン刺激により10分以内にPGI_2を産生する。予めLPSやサイトカイン処理をしておくとPGI_2産生は促進する。 以上の結果から、HPASMCがトロンビンなどのagonistを介さずNOやPGI_2を産生する時は数時間を必要とすることが分かりNO合成酵素やcyclooxygenase-2 (COX-2)が誘導された結果と考えられる。 7) NO合成酵素阻害剤とLPSやサイトカインを同時にHPASMCに作用させることによりHPASMCのPGI_2産生はLPSやサイトカインを単独で作用させた場合に比して有意に抑制された。この結果はNOが直接HPASMCのPGI_2産生を促進しているのかあるいはNO合成酵素阻害剤がプロスタグランディン産生を抑制しているかいずれかの可能性がある。
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