1)アミオダロン肺臓炎における炎症性細胞の動態 アミオダロンの投与により気管支肺胞洗浄液(BALF)中の肺胞マクロファージ、好中球、リンパ球はいずれも有意に増加し、肺胞マクロファージは細胞質が腫大、泡沫化を示し、ヒトで報告されているのと洞様の特徴的変化を示した。肺間質の炎症細胞もアミオダロン投与により好中球、リンパ球が有意に増加した。BALF中と肺間質の好中球密度はアミオダロン投与5、7週目には有意な正の相関がみられたが、9、12週目には両者に有意な相関はみられなかった。リンパ球は好中球の場合とは逆に9、12週目にBALFと肺間質の密度が有意な正の相関を示した。 以上、アミオダロン投与により肺胞領域の炎症が起こるが、BALFは炎症早期には肺間質の好中球密度を、炎症後期には肺間質のリンパ球密度を反映することが明らかとなった。 2)アミオダロン肺臓炎におけるサーファクタントアポ蛋白(SA)の動態 アミオダロン肺臓炎を起こしたラットではSAはII型肺胞上皮細胞、肺胞マクロファージの細胞質以外に、細胞外にもその局在が認められ一部ではSAが肺胞を充満し肺胞蛋白症に類似した所見を示した。また、アミオダロン投与によりII型肺胞上皮細胞密度の有意な増加がみられた。 3)アミオダロン肺臓炎発生における肺胞マクロファージの役割 アミオダロン投与により早期より肺胞マクロファージのIL-1α、TNF-α、CINC-1の各mRNAの発現の亢進がみられた。つまり肺胞マクロファージはアミオダロン投与により炎症性サイトカインmRNAを発現し、肺臓炎の発生に関与している可能性が考えられた。
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