研究概要 |
可溶性インターロイキン2受容体(Soluble interleukin 2 receptor,以下SIL2rと略す)はα,β,γ鎖のサブユニットに分かれα鎖単独およびαβ鎖のみでは機能せずαβγ鎖またはβγ鎖の複合体を介してはじめてT細胞を増殖させる機能を持つ。これまでELISA法によるSIL2rのβ鎖について測定した。本検索は平成8年1月現在、計画されたサンプルすべて完了されておらず、この時点までに得られた測定結果および知見について記す。1)アッセイ系については、SIL2rβ鎖の測定限界は0.2ng/mlであった。2)多発性硬化症(MS)増悪期4例中1例が0.5ng/ml,HTLV-1 associated myelopathy(HAM)12例中5例が陽性で0.4-0.6ng/mlであった。MSとHAMの髄液中SIL2rβ鎖は全16例中陽性結果は1例も認められなかった。現在両疾患の症例数をふやして検索中で、かつ他の免疫性神経疾患についても検索予定である。問題点は髄液中SIL2rβ鎖が全サンプルで検出されなかったことにより測定感度が低いことが示唆された。その対策として1)髄液の濃縮、2)新たな微量測定装置の導入を計画中である。本装置は近く本学医学部中央施設に搬入の予定である。
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