遺伝性神経疾患のうちアルツハイマー病と最近注目を集めているtrinucleotiderepeat病-とりわけCAGrepapeat病であるハンチントン病、DRPLAについて突然変異特異抗体を作成することをめざした。すなわちアルツハイマー病においてはアミロイド前駆蛋白コドン717の突然変異特異抗体と危険因子であるアポリポタンパクE4特異抗体の作成、ハンチントン病、DRPLAについては伸長しているCAGrepeat遺伝子産物である伸長したpolyglutamine stretchを認識するモノクローン抗体の作成を試みた。 本年度はアルツハイマー病に関しては危険因子であるアポリポタンパクのE4を特異的に認識する抗体を作成することに成功した。アポリポタンパクE4を規定するシークエンス特異的合成ペプチドを作成し、これをマウスに免疫し、ペプチドと反応するモノクローン抗体を選択し、このうちアポリポタンパクE4を持つヒトの血清とアポリポタンパクE3を持つヒトの区別ができるモノクローン抗体を世界で初めて得ることができた。このことによってアポEはその多形性に関連する部位にタンパクとしても特異性を持ち、これを抗体が認識できることが示された。これによってアポE4の動態を直接認識する手段を得ることができた。またこの抗体を用いてアポE4の血清中の定量系の確立の可能性もでき、現在まで量依存性の危険因子であることが遺伝子で確認されているが、これがタンパクレベルでも量依存性であるかどうかの検討が可能となった。
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