研究概要 |
本年度の研究成果として, (1)筋緊張性ジストロフィー(DM)患者線維芽細胞の初代培養の経時的長期培養法によって,CTG repeatの延長が体細胞でおこり,更にDMの遺伝子産物であるmyotonin protein kinase(MtPK)の蛋白量が,CTG repeatの延長に比例して減少することを明らかにした. (2)MtPKのポリクローナル抗体を作製し,この抗体が,full lengthのMtPKを認識すること,成熟した骨格筋では,神経筋接合部のみではなく,筋小胞体(SR)のterminal cisternaeに局在することを免疫組織化学的,免疫電顕的に明らかにした. (3)ヒト骨格筋-ラット脊髄併置培養系を使用して,骨格筋の発達段階におけるMtPKmRNAの変化及びMtPKの局在の変化に関して,RT-PCR法,Western blot法及び免疫組織化学的方法で検討をおこない,神経支配後,一過性にMtPKmRNAが減少すること,MtPKは,神経支配によって,細胞内の局在を変え,SRに限局していくことを初めて明らかにした. (4)8例のDM骨格筋においては,MtPKの局在の異常の有無に関して検討を行い,DM筋のおいてもMtPKはSRに存在するが,筋内膜系は乱れており,MtPKの発現量は減少していていること,特に先天性DMでは,発現が著明に減少していることを明らかにした. (5)DMでは,心筋障害は重要な合併症であるが,正常ヒト心筋におけるMtPKの細胞内局在に関して,免疫組織化学的に検討をおこない,corbaral and junctional SRに存在していることを初めて明らかにした.
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