研究概要 |
1.初年度の目標はウシ末梢神経内膜微小血管由来内皮細胞(PnMEC)の大量培養法の確立であり、これはほぼ達成されている。新鮮成牛より座骨神経または馬尾を採取し、perineuriumおよびepineuriumを実体顕微鏡下に丁寧に除去した後(末梢神経teasingと同様の手技を用いる)endoneuriumのみを無菌的に細切し、collagenaseにより酵素処理を行った。以降の処理は研究代表者がウシ脳毛細血管由来内皮細胞(BMEC)に対して確立した方法と同様である(J Cell Biol 126:235-246,1994)が、endoneurim内の微小血管は大脳皮質に比べて量的にはるかに少ないため、純粋なクローンの確立には数回の試行錯誤を要した。培養細胞のpurityは、DiI-Ac-LDLの取り込み、抗von willebrandt factorによる免疫染色、電顕的なtight junctionの形成などにより判定した。 2.また、得られたPnMEC massを分析し、糖脂質組成を検討した。PnMECの糖脂質組成はBMECのそれとほぼ同様で、GM3が主要成分をなし、その他、LM1,GM1,GDla,GD1b,GT1bなどの存在が明らかとなった。 3.血液神経関門のマーカー蛋白のひとつであるglucose transporter type1(GLUT1)が、in vitroでは急速にdownregulateされることを明らかにした。
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