1.ウシ末梢神経微小血管由来内皮細胞(PnMEC)の培養法を確立し、その生化学的特徴の一部を明らかにした。PnMECはin vivoで観察された血液神経関門(BNB)のマーカーの一つであるGLUT-1活性を培養早期に失うが、cloning後は活発な増殖能を保持し、少ないstarting materialにも関わらず、グリコリピドなどの微量成分の分析に必要十分量を確保することができた。ウシPnMECはGM3(NeuAc)とGM3(NeuGc)を主要ガングリオシドとし、その他に、GM1、GD1a、GD1b、GT1b、LM1、GLcCerを微量成分として有することが明らかとなった。この結果については、現在、J Neurosci Res誌投稿中である。 2.末梢性ニューロパチー患者の生検腓腹神経内微小血管において、抗グリコリピド抗体陽性者では、神経内皮細胞相互間のtight junctionが破綻率が有意に高いことを超微形態的に示した。微小血管密度や平均血管内腔面積などのパラメーターには差がなかった。これは、1での結果と関連し、患者血清に見られる抗GM1などの抗体がBNBの破綻の一助となり、これをきっかけとして末梢神経実質内へと免疫グロブリンをはじめとする液性因子が流入、ニューロパチーの成立に寄与するという仮説を形態学的に支持する結果であった。
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