研究課題/領域番号 |
07670708
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
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研究分担者 |
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50252292)
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
舟橋 厚 名古屋大学, 情報分化学部, 講師 (10190125)
織田 銑一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023660)
井上 稔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (20090425)
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キーワード | 運動失調 / 小脳 / 突然変異 / プルキンエ細胞 / 小胞体 / ラット |
研究概要 |
Wisterラットに由来した交雑種より見い出された突然変異体で運動障害を示すdop(dilute opisthotonus)ラットを遺伝的、組織学的に検索を行った。dopラットは常染色体劣性遺伝によりその形質を支配されかつそのホモ個体は致死であることから、ヘテロ個体を選抜して継代交配し系統を維持している。 原因遺伝子を採るためマイクロサテライトDNAをマーカーに用いて染色体マッピングを行った結果dop遺伝子は第8染色体上にあることがわかった。これはマウス第9染色体のdilute-lethal遺伝子との相同性を示す。 ホモ個体の小脳Purkinje細胞を電子顕微鏡にて詳細に観察したところ、小脳全域(虫部、半球)のPurkinje細胞樹状突起棘に正常では特徴的に存在する小胞体が欠損していた。小胞体の欠損は、連続切片を作成して一つの棘を追跡することによっても確証を得た。小胞体は樹状突起のどの部位(基部及び末端部)から出ている棘でも欠損していた。Purkinje細胞樹状突起棘の小胞体は細胞内Caストアであり細胞膜上にはIP3レセプターを豊富に持つが、この蛋白に対する抗体を用いた免疫組織化学でも小胞体の欠損が明らかとなった。したがってシナプス受容部でのCaの欠損による障害が示唆されるがこれはこのラットがシナプス伝達時におけるCaの役割、とくに代謝型グルタミン酸受容体刺激によって産成されたIP3によるCa動員の欠損による障害を解析するためのよいモデルとなることを示している。 また小脳凍結切片での抗マイクログリア抗体を用いた免疫染色では小脳後方部小葉の髄質でマイクログリアの増殖が観察された。 今後、小脳での他の異常あるいは脳の他の部位で同様な異常がみられるかどうか検索する予定である。
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