研究課題/領域番号 |
07670717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
調 漸 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (40264220)
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研究分担者 |
中村 龍文 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (00198219)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | HTLV-I / グリア / アストロサイト / ミクログリア / マクロファージ / 小脳顆粒細胞 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 |
研究概要 |
近年、 HTLV-I関連脊髄症の研究は大きく前進したが神経系の細胞に具体的にどのようにウイルスないしウイルス感染細胞が傷害を起こしているのかという点は未だ良く解っていない。一方、初代培養による神経細胞、グリア細胞の実験が比較的容易に応用できるようになり、この方法を用いてHTLV-I感染と神経細胞死のメカニズムを検討する試みを行った。 初代培養による小脳顆粒細胞に対するHTLV-I感染細胞株であるMT-1、MT-2、HCT-I、W7TM-I、HAM患者より分離したT-cellなどの培養上清を用いて細胞障害性を、MTT法、fluorescin diacetate法による生細胞数の測定を行ったところMT-1、MT-2で神経細胞障害性が容量依存性に見られた。この現象はtax遺伝子の関与が推測されたがtax蛋白に対する抗体を含んだ患者血清での中和実験では、抑制できずtax蛋白そのものというよりはtax蛋白によって発現が亢進したサイトカインなどの因子によるものと推測された。 次ぎに、初代培養のアストロサイト、ミクログリア、小脳顆粒細胞など神経系細胞へのtax蛋白遺伝子導入を試みたが、導入効率で問題があった。そこでミクログリアと基本的に同じ性格を持つと考えられる細胞としてU937細胞株を用い遺伝子導入を試み、良好な導入効率がえられた。tax遺伝子をサイトメガロウイルスのプロモーターの顆粒に挿入したvectorを用いてリポフェクトアミン法で導入し、神経系に障害性を持つnitric oxide(NO)を測定、またinducible NO synthase(iNOS)のmRNAを半定量PCR法で測定した。その結果、tax遺伝子を導入したU937細胞はNO濃度は高値で、iNOSのmRNAは有意に多く発現しておりIFN-_γ刺激によって増強された。このことから、HAMの発症病理に於てresidentialなマクロファージやミクログリアより誘導されるNOが神経組織障害に関与している可能性が示唆された。
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