研究概要 |
糖原病II型を対象として、筋芽細胞を用いた治療法の開発を目標とした研究を行った。糖原病II型の欠陥酵素であるacid α-glucosidase(GAA)は高分子前駆体として合成され、一旦細胞外へ分泌された後、再び細胞内へとりこまれmature typeへと変換される。正常筋芽細胞と欠陥筋芽細胞を混合培養しhybrid myotubeを形成させGAA活性を測定したところ、欠陥細胞の酸素活性の上昇がみられた.従って、正常細胞からのGAA全駆体が疾患細胞へとりこまれprocessingをうけていることが考えられた。正常細胞の割合を少なくし、導入細胞あたりの酵素発現を高める必要があるが、そのためには自家筋芽細胞にGAAcDNAを導入して酵素活性の高いcell lineを得る方法が考えられる。また、GAAの分泌が継続されるためには、このcell lineは融合して筋管細胞へと分化する必要がある。そこで、マウス筋芽細胞のcell lineであるC2C12へvectorとして用いるpSRD plasmidとマーカー遺伝子であるpSV2-neoをco-transfectionし、G418-resistant cell lineを得た。このcell lineを用いて、分化度の検討を行った。筋関連遺伝子の発現をRT-PCR法で、また筋管細胞の形成度を筋組織化学的に検討した。分化融合培地へ変換後、筋関連遺伝子であるmyogenin, cardiac α-actinの発現は、経時的に増強した。この変化はparental C2C12 cellと同様であった。また、多核である筋管細胞の形成も経時的に増加した。したがってpSRD plasmid導入後も筋分化が進行することが確認された。GAAcDNA導入に関しては検討中である。
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