本研究は、傍腫瘍性小脳変性症に関連する神経蛋白遺伝子の機能についての解析と、同様な機能を持つと推定される新たな遺伝子の分離同定を目的としているが、平成7年度の研究経過としては、 1)pcd17遺伝子をneomycin耐性遺伝子を有する真核細胞発現ベクターにsense及びantisenseの方向に組み換えた組み換え体遺伝子を作製し、その配列について確認した。 2)この遺伝子を電気穿孔法によってHeLa細胞に遺伝子導入を行ない、G418で選択してtransfectantを得た。得られたtransfectantについて、遺伝子を発現する状況での長期培養を開始した。 3)pcd17抗原のleucine zipper領域をコードする塩基対をプローブとしてヒト小脳cDNAライブラリーをスクリーニングし、ひとつのcDNAクローンを得て、その塩基配列を決定した。さらに3′-RACE法により、この遺伝子の3′側を同定した。得られたクローンは5′側の370塩基対の異なり、この部分の塩基配列と推定アミノ酸配列をデータベースにより検索したが、他の遺伝子との間にも有意な相同性を示すような蛋白、遺伝子はみつからなかった。leucine zipper構造はpcd17遺伝子と共通する部分に認められ、塩基配列は完全な一致を認めた。 4)pcd17cDNAと新たにクローニングしたcDNAに共通する部分をプローブとしたヒトゲノムDNAライブラリーからのクローニングにより、約22kbのヒトゲノム遺伝子クローンIPCDを得た。さらに、このファージのT7プロモーター側に上記遺伝子の蛋白コード領域を含むゲノム遺伝子が存在していることを確認した。この断片について塩基配列の解析を開始した。
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