研究概要 |
平成7年度においては2つの目標を置いた。第一は変異原性物質の選定と用量設定である。第2に関しては実験手法上の問題であるSSCP法の確立である。各々について現状を述べる。 1)変異原性物質の選定と用量設定 本研究施設において従来より飼育が容易であったB10mouseを用いて実験を行っている。今までに投与を試みた物質はAZT,EtBr,MTXであるが少なくとも形態学的には変化は認めていない。さらに別種の物質を入手後投与を試みる予定である。また投与期間や用量の設定が重要であるが、皮膚病変などの感染症に対する対策が必要になってきている。 2)SSCP法の確立 SSCP法に関してはまずRIを用いない系での確立を考えたが、検出の容易さからRIを用いる系をまず確立することを考え、end-labeled primerを用いて実験を行い、ミトコンドリア遺伝子の一塩基異常に関しては数カ所において遺伝子異常を検出することが可能であった。このことからさらに同部位での異常に関して銀染色あるいはethidium bromide染色を用いるnon-RI系での確立も試みている。したがって変異に関してassey系は準備が進んでいる。 これらのことより次の段階に進むにあたっての課題として 1)パイロット的に投与した結果ミトコンドリア変異惹起物質に関して組織学的検査において変化を来しうるものは少ないのではないかと考えている。したがって、ある程度投与が進んだ段階において直接変異の有無を検討することが必要になると考えている。このため解析は進んでいないが、SSCP法がほぼ確立されてきたのでこれを用いて検討する予定である。 2)投与用量設定状の問題点として、mouseに対する毒性があり、致死的でないにせよ皮膚疾患などに感染しやすい状況であり、環境を含めて改善すべきであると考える。このため投与量の増加が難しい点がある。
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