今年の目標は、JCVの原形型とPML型の調節領域を用いてベータ-ガラクトシダーゼ遺伝子を結合させた形でアデノウイルスベクターに組換え、脳細胞や腎臓細胞を含む種々の培養細胞での発現を調べ、調節領域の遺伝子構造の機能を解析することである。 今年の成果を以下に記す。 1)分子クローニングされた原形型(CY株)およびPLM型(Mad1株)のJCVから調節領域を切り出し、2)これに、β-ガラクトシダーゼ遺伝子を結合させ、これをコスミドに挿入させた。3)現在、できたものを欠損アデノウイルスベクターとともに293細胞に感染させて組換えアデノウイルスベクターの作成中である。 今後の課題として、アデノウイルスベクターへの組換えを行った後、脳細胞や腎臓細胞を含む種々のの培養細胞でのβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の発現を調べ、調節領域の遺伝子構造の機能を解析することが今後の課題である。これができると、脳神経系の細胞組織での発現が優れているアデノウイルスベクターの特性をいかして、実験動物に接種することにより、PML型のものは中枢神経に発現が増強されることが証明でき、脳神経性疾患の治療のために資するものと思われる。
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