研究概要 |
1 クロロキンミオパチーラットの作成:クロロキン処理をそれぞれ4,6,8,10および12週間行ったクロロキンミオパチーラットを制作した。このクロロキンミオパチーラットのひらめ筋について検討した。 2 クロロキンミオパチーラットの組織化学的、免疫組織化学的検討 (1)経時的組織変化: クロロキン処理4週までは組織学的には変化がみられないが、6週以降のひらめ筋では筋線維の大小不同とともに、rimmed vacuoleを有する筋線維が認められた。Rimmed vacuoleを有する筋線維の数は除々に増加し、12週では大半の筋線維にrimmed vacuoleが認められた。 (2)各種蛋白の蓄積: β-アミロイド前駆体蛋白,β-アミロイド,タウ蛋白,チューブリン,アポリポ蛋白Eおよび熱ショック蛋白70について検討を行った。β-アミロイド前駆体蛋白,β-アミロイド,タウ蛋白および熱ショック蛋白70はrimmed vacuoleが形成される初期(6週)からrimmed vacuoleを有する筋線維内に認められた。一方、チューウブリンもまた初期から認められたが、必ずしもタウの蓄積に一致するものではなかった。また、アポリポ蛋白E陽性物資は後期(12週)でのみ認められた。 (3)タウ蛋白のリン酸化: リン酸化依存性抗タウ抗体を用いた検討では、クロロキンミオパチーラットにみられるタウ蛋白はリン酸化されていた。頻度は低いが、脳に特異的とされる部位がリン酸化されたタウも認められた。 (4)β-アミロイドの超微構造: 免疫電顕を用いて検討した。シグナルは認められたが、線維状の構造は認められなかった。 3 考察 β-アミロイドおよびタウ蛋白の蓄積はよく一致しており、これらの蛋白のクロロキンミオパチーラットにおける蓄積機序は密に関連するものと考えられた。
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