心不全においてTNF-αが増加しておりその病態生理的意義が注目されている。TNFのレセプターが切離した可溶性TNFレセプターはTNFのアンタゴニストとして働き、心不全患者の血中において増加している。Interleukin-10(IL-10)はTNFの活性と産生を抑制することが明らかにされている。我々は心不全においてIL-10が増加しており、可溶性TNFレセプターのようにTNF-αの抑制因子として働くと考え検討した。【目的】本研究では1)心不全患者の血中IL-10濃度を測定し、健常人の濃度と比較検討する。2)単核白血球(PBMC)にTNF-αを添加した際IL-10の産生がみられるか、またLPSの刺激でTNF-αの産生とともにIL-10の産生増加がみられるか、recombinant IL-10の前投与後LPS刺激したときTNF-αの産生低下するかを検討した。【方法】心不全64例(NYHA I度:8人、II:26人、III:12人、IV:8人)、健常人30例についてELISA法(R&D System;high sensitive)を用いて血清IL-10、TNF-α濃度を測定した。またPBMCはFicoll paqueを用いて分離し、10^6個/mlをTNF-α(20ng/ml)、LPS(10ng/ml)にて24時間刺激後、上清中のIL-10・TNF-α濃度を測定した。【結果】血清IL-10濃度は健常群に比し心不全群で高値であった(2.5【.+-。】0.4(mean【.+-。】SEM)vs5.3【.+-。】0.6pg/ml;p<0.01)。NYHAIIIとIVの心不全群の血清IL-10濃度とTNF-α濃度との間に有意な相関を認めた(r=0.42;p<.05)。TNF-α刺激により培養上清中のIL-10濃度は増加した。LPS刺激にてIL-10、TNF-αとも増加したが、心不全患者においてIL-10の増加は大であった(29.1【.+-。】8.4vs192.9【.+-。】53.7pg/ml;p<.001)。また、rIL-10の前投与によりLPS刺激によるTNF-αの産生は抑制された。【総括】心不全においてIL-10はTNF-αに対する防御機転の一つとして働くことが示唆された。
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