研究概要 |
研究目的:インターロイキン-6 (IL6)は、典型的多機能サイトカインであることが判明し、抗ウイルス作用や抗腫瘍作用について注目されている。私たちは粘液腫組織および培養上清中に高濃度のIL6と抗Interleukin-8 (IL8)抗体と反応する蛋白を見い出した。そこで、粘液腫由来の生理活性物質が心不全や心肥大および塞栓症における役割を解明しようと考えた。 学術的な特色:本研究は粘膜腫由来の生理活性物質の単離精製と、その生物活性さらに心疾患おける役割の解明にある。IL6またはIL8を含む炎症性サイトカインが心疾患の病態に関わっているとされるが、明らかでない点も多く、本研究である粘液腫由来の生理活性物質の解明は、粘液腫のみならず心筋梗塞や敗血症に伴う心疾患の病態に対しても、新しいアプローチになると思われる。 (1)心房粘液腫に含まれるIL6またはIL8類似蛋白抗原の解析を目的として、凍結粘液腫組織を超音波破砕機によりホモジェナイズし、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーを用いて蛋白を分離精製し、Western blotting法にて蛋白分子量の決定を行った。そこで、IL8類似蛋白抗原は、分子量約10-12kDであった。(2)心疾患動物モデルでの検討を行った。ウイルス性心筋炎による心不全に対する関与。マウスウイルス性心筋炎モデルを用いる。Encephalomyocarditis (EMC)ウイルス接種前後より、粘液腫由来の培養上清を腹腔内投与にて4日又は10日間行い、virus titer,免疫反応、形態学的病理組織学的検討を行った。そこで、粘液腫由来の培養上清は、生存薬病理組織学的心筋炎を改善させた。加えて、IL6またはIL8を投与したところ、IL6は明らかに同様の改善を示した。しかし、IL8は改善を認めなかったので、今後の検討項目となった。
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