研究概要 |
ヒト粘膜腫組織および培養上清中に高濃度のIL6と抗Inter leukin-8(IL8)抗体と反応する蛋白の分離精製と、この生理活性物質が心不全における役割を解明する。現在までに、免疫組織化学、組織培養、分子生物学的手法にて、我々は幾つかの新知見を鰓。18例の心房粘液腫の15例(83%)は、抗IL6抗体が陽性であった。陽性例全ての患者に、自己免疫疾患様症状(体重減少、易疲労感、発熱)、及び血清IgG,IgA,gammma-globulinの異常を呈し、IL6発現との関連を示唆した。ウイルス性心筋炎による心不全に対する関与を目的に、マウスウイルス性心筋炎モデルを用いた。Encephalomyocarditis(EMC)ウイルス接種前後より、分離精製蛋白を皮下投与(100microg/g/day)にて4日行い、感染と同時投与より4日間で生存率を、未治療群に比較して大きく延長させた。本実験より、分離精製蛋白の免疫賦活作用や抗ウイルス作用を明らかにした。ここで、in vitroで報告されている抗ウイルス作用は、in vivoでも作用する可能性を示唆した。以上より、粘液腫の自己免疫疾患様症状や抗ウイルス性心筋炎に、心房粘液腫に含まれるIL6またはIL8類似蛋白抗原が強く関与していると推定した。心房粘液腫より精製した蛋白の、DNAアミノ酸配列の決定及びエピトープの解明は、将来の課題としたい。
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