研究概要 |
hemeoxygenaseI(以下HO-I)の動脈硬化に与える効果を検討した。HO-Iはヘミンの投与により全身で誘導されることが明らかになった。ラット頚動脈バルーン障害モデルにおいては、ヘミンの投与は血管内のHO-IのmRNA及び蛋白の発現と高度に増強した。この状態でラット頚動脈の内膜の増殖は高度に抑制された。HO-Iの拮抗薬であるtinproporphinの局所投与を行なったところこの抑制効果は消失した。すなわち障害血管の内膜増殖にHO-Iは抑制的に働ていあることが明らかになった。また大動脈硬化モデルである家兎高コレステロール食モデルにおいても,ヘミンの3日に1回の投与により,大動脈硬化巣の高度の減弱をみた。さらに血管内皮由来の弛緩反応を調べたところ,ヘミン投与の大動脈ではコントロール群に比し内皮機能が保たれていた。ヘミン投与は大動脈のHO-Iを上昇させる所見を得た。HO-Iの拮抗薬の投与は大動脈硬化を増強した。またヘミン投与による効果も減弱した。以上より大動脈においてHO-Iの誘導は動脈硬化に対して抑制的に働いており、障害血管の内膜増殖にも抑制的に働いていることが明らかになった。以上の所見より内因性のHO-Iの誘導は生体での重要な抗動脈硬化系でありこのHO-Iのより詳細な血管での役わりを調べることが,動脈硬化の予防及びPTCA後の再狭窄の予防をふくめて重要であると考えられる。今後積極的な遺伝子導入をふくめた検討が必要と考えられる。上記成果はBBRC及びAtherosclerosisに投稿中である。また一部Cir.Resに投稿中である。
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