カテーテル型の内視鏡の先端部に透明のバルーンを取付けたものを、カテーテルメーカーに作成依頼。そのバルーン付きカテーテル型内視鏡を麻酔犬に経動脈的に左室に挿入し、左室内膜面の観察後、Nd:YAGレーザー(20wx2秒)を間歇的に左室壁に照射し、照射エネルギー量と焼灼巣の大きさとの相関性をみた。17頭中、16頭で左室内腔の連続的観察が可能であった。16頭中13頭において、総エネルギー量を変えて左室壁への経バルーン的レーザーエネルギー照射を実施後、摘出心臓において焼灼巣を評価した。13頭中2頭ではバルーンの破裂のためレーザー照射は中断した。レーザー照射を実施した11頭で、左室内膜面の観察後、焼灼巣の左室壁内の拡がりをみた。レーザーエネルギーが照射された内膜部位は黄色に変色していたが、血栓形成は見られなっかた。2頭では焼灼巣がなかったが、残り9頭ではエネルギー量(500〜5000J)に応じた楕円形の焼灼巣がみられた(最大深度9mm)。病理組織学的検討では、比較的周囲と境界明瞭な焼灼域が確認された:中心部は凝固壊死巣、周辺部は収縮帯壊死巣からなっていた。以上より、バルーン付き心臓内視鏡を用いた心内腔の観察が可能で、経バルーン的レーザーエネルギー照射により左室壁にエネルギー量に相関した焼灼巣の作成が可能であることが結果として得られた。
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