研究概要 |
エリスロポエチンによる高血圧症の発症機序を解明するために、培養血管平滑筋細胞をもちいて、合成ヒトエリスロポエチン(rHuEPO)のCell Growth(DNA合成作用、蛋白合成作用)におよぼす影響を検討した。さらにエリスロポエチン受容体が血管平滑筋細胞に存在するか否かについて検討した。 血管平滑筋細胞はラットから分離し実験に供した。 実験1)rHuEPOの血管平滑筋細胞に対する蛋白合成作用についての検討 rHuEPOを加えたメディウムで血管平滑筋細胞を3日間培養し、その後メディウムをすてよく洗浄した後蛋白量をLowry法で測定した。 上表の如く、rHuEPO : 50unit/1で有意にコントロールと比べ、蛋白合成が亢進した。 実験2)rHuEPOの血管平滑筋細胞に対する細胞増殖作用(DNA合成能)についての検討 rHuEPOを加えたメディウムで血管平滑筋細胞を培養し、さらに^3H-thymidineを加え24時間後取り込まれた^3H-thymidine(Thym Inc)を液体シンチレーションカウンターで測定した。 上表に様に、rHuEPO:50unit/1で有意にコントロールと比べ、Thymidineの取り込みが亢進した。 実験3)血管平滑筋細胞におけるエリスロポエチンの受容体の存在の有無についての検討 ^<125>I-rHuEPOを用いたbinding assayを行ったが、エリスロポエチン受容体の存在を証明できていない。 1),2)の結果より、rHuEPOは、血管平滑筋細胞に対して細胞増殖作用および蛋白合成能が存在する可能性が示唆されたが、エリスロポエチン受容体の有無についてはさらに検討が必要と考えられた。
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