研究課題/領域番号 |
07670772
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 裕司 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 文部教官助手 (50262803)
|
研究分担者 |
寺川 進 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (50014246)
林 秀晴 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助教授 (50135258)
|
キーワード | 血管内皮細胞 / ミオシン軽鎖キナーゼ / カルシウム / シェアストレス / ブラジキニン |
研究概要 |
平成9年度研究では、血管内皮細胞内Ca^<2+>応答におけるミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の役割を明らかにするため、アゴニスト刺激時および機械的刺激であるシェアストレス(SS)時の血管内皮細胞内Ca^<2+>応答に及ぼすMLCK阻害剤の作用をミオシン軽鎖リン酸化とともに検討した。 【得られた知見】細胞内Ca^<2+>濃度に及ぼす影響:(1)ブラジキニン(BK:10nM)刺激により、細胞内Ca^<2+>濃度は30秒後には約1.8μMへと急激に上昇し、5分以上にわたって1μM以上の持続的な上昇を認めた。細胞外Ca^<2+>非存在下では一過性に約450nMまで上昇したが、持続的な上昇は認められなかった。SS(5dynes/cm^2)によりCa^<2+>濃度はプラトー型(80%)あるいはoscillation型(20%)の上昇を示した。(2)MLCK阻害剤であるML-9(100μM)は、BK刺激およびSS時の細胞外からのCa^<2+>流入をほぼ完全に抑制したが細胞内ストアからCa^<2+>放出には影響を及ぼさなかった。ML-9(1-100μM)によるCa^<2+>流入抑制作用は濃度依存的であった。(3)ML-9のアナログであるML-7、ML-5は0.1-25μMの濃度においてML-7>ML-9>ML-5とMLCK阻害活性に一致したBK刺激時のCa^<2+>流入抑制作用を示した。ミオシン軽鎖リン酸化に及ぼす影響:(1)BK刺激およびSS時にミオシン軽鎖のリン酸化が促進し、二リン酸化体はコントロールの約8倍、約5倍に増加した。(2)ML-9(1-100μM)は濃度依存的にミオシン軽鎖の二リン酸化を抑制し、その抑制率はCa^<2+>流入抑制作用と有意な相関を認めた。 【総括】ミオシン軽鎖キナーゼが、血管内皮機能の発現に重要なシグナルとなる細胞外からのCa^<2+>流入調節に中心的な役割を果たし血管内皮機能調節に関与することが強く示唆された。
|