研究課題/領域番号 |
07670775
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (70262912)
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研究分担者 |
堀場 勇夫 名城大学, 理工学部, 助教授 (60199560)
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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キーワード | 洞房結節 / 自動能 / overdrive suppression / L型Ca^<2+>電流 / パッチクランプ / 電気生理学 / 心臓 |
研究概要 |
昨年度の本研究で我々は洞房結節のoverdrive suppressionにL型Ca電流(I_<Ca>)の不活性化が重要であることを明らかにした。本年度の研究ではI_<Ca>が洞房結節細胞の自動能の生成における役割を、結節中心部と辺縁部に分けて検討した。 (1)細胞外電位波形による検討:ウサギ右心房から洞房結節全体を含む標本を作成し、modified bipolar electrodeを用いて細胞外電位を記録した。I_<Ca>阻害薬nifedipine(1μM)を添加すると、結節中心部の細胞外電位の振幅が減少し、主歩調取り部位が分界稜あるいは心房中隔部に移動した。 (2)活動電位波形による検討:ウサギ洞房結節中心部から辺縁部までの様々な部位は含む小球状標本から活動電位を記録した。Nifedipine(2μM)は、結節中心部の活動電位立ち上がり速度(V^^・_<max>)を著しく減少させ自発興奮を停止させたが、辺縁部ではV^^・_<max>は殆ど変化せず自発興が軽度増大した。Na電流(I_<Na>)阻害薬TTX(20μM)は、辺縁部の活動電位V^^・_<max>を大幅に減少させ自発興奮を抑制したが、中心部では活動電位には有意な変化を与えなかった。過分極活性化電流(I_f)を阻害するCs^+(2mM)は辺縁部の拡張期脱分極と自動能を抑制したが、中心部に向かう程これらの効果は減弱した。 (3)単離細胞の膜電流解析:ウサギ洞房結節単離細胞からwhole-cell clamp法で膜電流を記録した。I_<Na>とI_fの電流密度は、結節中心部に由来する小型の細胞よりも辺縁部に由来する大型の細胞の方が有意に大きかったが、I_<Ca>の電流密度には細胞の大きさによる相違は認めなかった。 以上の結果から、(1)洞房結節中心部では自発活動電位発生がI_<Ca>に依存するのに対して辺縁部ではI_<Na>が重要な役割を果たすこと、(2)拡張期脱分極に対するI_fの寄与は中心部よりも辺縁部の方が大きいことが明らかになった。
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