研究課題/領域番号 |
07670780
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
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研究分担者 |
小川 智 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
半田 伸夫 大阪大学, 医学部, 助手 (80228676)
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キーワード | アストロサイト / ストレス応答 / 低酸素 / クローニング / ストレス蛋白 / ラット / 細胞培養 |
研究概要 |
ラット脳よりアストロサイト(AST)を培養、48時間低酸素暴露し分子量約150kDaのストレス蛋白(150kDa Oxygen Regulated Protein ; ORP150)を陰イオン交換クロマトグラフィー、preparative scaleでのSDS-PAGEなどにより分離精製し、N末端よりのアミノ酸配列を得た。このアミノ酸配列よりPCRプライマーを合成、低酸素下のASTより作成したcDNAライブラリーからORP150のクローニングを行った。得られた約40残基のORP150のN末端アミノ酸配列、およびクローニングされたORP150の塩酸配列(約2.3kb)は、ORP150が新規のストレス蛋白で、HSP70ファミリーとホモロジーを持つことを示した。精製ORP150を家兎に免疫して得られた抗ORP150抗体はwestern blottingにて、低酸素暴露したASTで、分子量約150kDaに相当するバンドのみを検出、ドットブロットにてORP150のアミノ酸配列に基づいて作成された合成ペプチドを認識し、この抗体が特異的なものであることを示した。この抗体でのwestern blottingによれば、ORP150抗原量は低酸素暴露後約24時間後に検出され再酸素化後4時間で最大となった。同じHSP70ファミリーのGRP78の誘導は同様の時間経過を示し、また、HSP72は、再酸素化後にのみ検出された。ASTを2-deoxy glucoseやカルシウムイオノフォアで処理することによってGRP78が、熱ショックや砒素などの負荷でHSP72が誘導されたが、ORP150はこれらの刺激によっても誘導されなかった。細胞分画を用いたwestern blotting及び免疫組織染色により、ORP150はGRP78同様にendoplasmic reticulumに存在することが示唆された。更に、AST同様に分離培養されたマイクログリア、神経細胞、血管内皮細胞を低酸素暴露してもORP150の発現は誘導されなかった。ORP150の発現はラットおよび砂ネズミを用いた実験的脳虚血モデルでも確認された。培養ASTより低酸素刺激によってのみ誘導される新規のストレス蛋白ORP150を精製し、そのクローニング、抗体の作成に成功した。脳虚血巣におけるORP150の発現は、ASTの低酸素に対するストレス応答現象を反映していると考えられる。
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