研究課題/領域番号 |
07670780
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
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研究分担者 |
宝学 英隆 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | 低酸素 / ストレス応答 / ORP150 / マクロファージ / 平滑筋細胞 / 動脈硬化 |
研究概要 |
我々がラットアストロサイトよりクローニングしたORP150について、ヒトのORP150をU373 cDNAライブラリーよりクローニングし、その構造について検討した。ヒトORP150はChinese Hamster Ovary cellにて報告されているGRP170と91%のホモロジーを有して、そのN末端側はHSP70ファミリーのものと相同性の高いATP結合部位を持ち、ノザンブロットではhypoxiaのみならず、glucose deprivationにてもORP150の誘導が認められた。臓器における発現も膵臓、肝臓、心臓、骨格筋に比較的多く発現しており、GRP78と類似していた。これらのことから、ORP150が様々な環境変化において細胞内小胞体におけるストレス応答に関与している可能性が高いと考えられる。また、動脈硬化巣の進展に伴い、血管壁における栄養血管構築における変化がおこり、血管内皮細胞・平滑筋細胞・マクロファージを構成要素とする血管壁の循環不全・酸素分圧の低下がおこることが、従来より示唆されていることから、動脈硬化巣構成細胞、ならびにヒト動脈硬化巣におけるORP150の発現を検討し、ORP150の発現の意義について考察した。ヒト動脈硬化巣ならびに、特に培養したMPsにおいて、この新規ストレス蛋白ORP150の発現が認められた。また培養した単核球由来マクロファージでは、低酸素のみより低酸素下にmodified LDLを加えたもので約10倍のORP150が発現した。ORP150のantisenseを用いてORP150の発現を抑えると、modified LDL存在下の低酸素環境にてMPsのviabilityが著明に低下した。さらに、高度の動脈硬化を持つ患者の血清において、ORP150に対する自己抗体が存在することは、慢性的にORP150を発現しているような動脈硬化巣の病態によく一致すると考えられた。こうしたORP150の発現は、マクロファージのmodified LDLや低酸素環境に対する細胞応答であり、ORP150が様々な低酸素ストレス応答に関わっていることが示唆された。
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