研究課題/領域番号 |
07670781
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三上 洋 大阪大学, 医学部, 教授 (80173996)
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研究分担者 |
守口 篤 大阪大学, 医学部, 助手 (10273666)
楽木 宏実 大阪大学, 医学部, 助手 (20252679)
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キーワード | アンジオテンシンII / グルタメート / GABA / グリシン / 高血圧 / 延髄腹外側部 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 |
研究概要 |
心血管系の中枢である延髄におけるアンジオテンシンIIとアミノ酸神経伝達物質との相互作用を検討する目的で、吻側延髄腹外側部(RVLM)でのアミノ酸の放出動態を脳微小透析法を用いて検討した。12週齢の雄性Sprague-Dawley(SD)ラットを対象として、ウレタン麻酔後人工呼吸器を装着した上で、腹側からのアプローチにより微小透析用プローベをRVLMに挿入した。末梢静脈内またはマイクロピペットにより延髄腹外側部にアンジオテンシンIIを投与し、投与前後の動脈血圧を連続的にモニターするとともに脳透析液を回収し、液中のアミノ酸をHPLCで分離、定量した。アンジオテンシンIIに対する昇圧反応は、末梢静脈内投与、延髄への微小注入いずれも容量依存的に増加した。また心拍数の増加も同様であった。アンジオテンシンIIの末梢静脈内投与によりRVLMからのアミノ酸放出量は、投与前に比し興奮性アミノ酸であるグルタメートが約2倍に増加し、延髄への微小注入に対してはグルタメートの増加は5倍以上の増加を示した。アンジオテンシンII受容体(AT1)拮抗薬の前投与によりこの増加は抑制され、抑制性アミノ酸であるグリシン、GABAが投与前に比し増加していた。これらの結果から、アンジオテンシンIIによる血圧上昇にはRVLMの興奮性アミノ酸グルタメートが神経伝達物質として関与しており、AT1拮抗薬による降圧機作には、グリシン、GABAなどの抑制性アミノ酸が関与していることが示唆された。 さらに、我々はラット中枢神経系にヒトアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子を導入し、脳内レニン-アンジオテンシン系の亢進した高血圧モデル動物の作成に着手している。このモデルにおいても導入遺伝子が延髄で強く発現していることがわかった。RVLMでのアンジオテンシンII増加による興奮性アミノ酸の放出増加が血圧、心拍数の上昇に関わっていることを支持する所見である。
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