研究課題/領域番号 |
07670806
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
片桐 敬 昭和大学, 医学部, 教授 (90102293)
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研究分担者 |
下司 映一 昭和大学, 医学部, 講師 (50192050)
今野 述 昭和大学, 医学部, 講師 (50215472)
柳下 俊邦 昭和大学, 医学部, 講師 (70183671)
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キーワード | 再潅流障害 / フリーラジカル / ESR / SOD / catalase / working heart / cerium chloride |
研究概要 |
虚血性心疾患の再潅流障害におけるフリーラジカルの関与を成犬の虚血心筋モデル、ラットの摘出再潅流心モデル、ラットの再酸素化単離心筋細胞モデルを用いて検討した。フリーラジカル動態はESRにより虚血再潅流中に発生したラジカル種を経時的に測定し、特にラジカル発生媒体として重要視されるhydrogen peroxideに関してはcerium chlorideを用いて定量的に検討した。心筋障害の指標として、筋小胞体のCa-ATPase活性の変化等の生化学的測定を行った。また心筋の1μm切片を作成して超微形態学的な観察を行い、ラジカル発生源と細胞障害の検索を行った。今後臨床上再潅流障害の予防薬として期待されるsuperoxide dismutase (SOD) 、catalaseを前投与し再潅流時の心筋保護効果について検討した。 -結果- 1.成犬虚血心モデル、ラットworking haert法潅流モデル、単離心筋細胞モデル、Langendorff法モデルのいずれにおいても再潅流後30秒〜5分にかけてPOBNでトラッピングされるフリーラジカルが検出された。 2.ラット潅流心モデル、単離心筋細胞モデルにcerium chlorideを投与した後の電子顕微鏡的観察でhydrogen peroxideとの特異的な反応生成物が血管腔、ミトコンドリア周囲に沈着して観察された。 3.フリーラジカルの発生に一致して心血行動態の悪化と筋小胞体CA-ATPase活性の低下がみられ、また組織学的には筋細線維間浮腫、ミトコンドリアの膨化が観察された。維 4.SODの前投与によりラジカル発生の抑制と心筋障害の軽減がみられSODの保護効果が確認された。 5.虚血を遷延化した実験系においては内因性catalase活性の低下がみられ、SOD単独投与により逆に障害の増悪がみられた。この系にcatalaseを併用前投与することにより再びSODの保護効果が得られた。 以上より、いずれの実験系においても再潅流時フリーラジカルの発生に一致した心筋障害が証明され、一部のラジカルスカベンジャーの心筋保護効果については充分な結果を得たが、今後はラジカルスカベンジャーの相互作用に関して再検討が必要であると考えられた。
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