研究概要 |
はじめに、ウサギ及びモルモット単離心室筋細胞にWhole cell clamp法を応用し、Ca電流またはBa電流を測定、NO供与体を作用させたが、有為な変化は見られなかった。そこで、β受容体刺激(Isoproterenol 1μM)により同電流を増大させた後NO供与体を作用させると、SNP 1μMでは25±3%、SNAP10μMでは30±9%の抑制が見られた。この抑制はNO scavergerであるCarboxy-PTIO1μMを添加すると減弱した(n=5)。次に、ウサギ心筋L型Caチャンネルを発現させたアフリカ爪蛙卵母細胞のBa電流に及ぼす効果を検討した。本系ではdibutyl c-AMP, forskolin, IBMX等でBa電流の増大は認められず、Rp-cAMPで同電流の抑制も認めなかった.従って細胞内PKAを介するCaチャンネルの調節は欠如していると考えられた。この系にNO供与体を作用させるとSNP 1μMでは12±3%、SNAP 10μMでは15±6%のCa電流抑制が見られた(n=5)。SNAPの抑制はPTIOで減弱した.また、細胞内guanylate cyclaseの抑制剤であるMethylene blue 10μM前処置下では、両薬剤とも抑制作用はほぼ半減し、SNP 1μMでは8.2±3.2%、SNAP 10μMでは7.0±6.4%の抑制となった(n=5).従って、2種のNO供与体は、NOの作用を介して心筋L型Caチャンネルを抑制し、この作用は細胞内PKAの作用がなくても認められ、細胞内PKGに依存すると考えられた. 一方、活性酸素生成剤であるt-butyl hydroperoxideはモルモット単離心筋心室筋細胞のCa電流を抑制し、この抑制は非特異的リン酸化酵素阻害剤であるH7作用下では減弱した.従って、活性酸素による心筋Caチャネル抑制(傷害)は、細胞内リン酸化酵素活性に依存する事が示唆された.
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