研究概要 |
我々はまず、大腿動脈の結紮切離によって下肢の虚血を誘発する、慢性閉塞性動脈硬化症の動物モデルを確立させた。本法によって誘発される下肢虚血と本モデルの有用性については、論文の一部にて詳細に報告した(Lab.Invest.74:1061-1065,1996)。VEGF治療ラットでは、治療後3日目より血管内皮細胞の増殖性が増加し、5日目において対照群の2.8倍に達することが明らかとなった(p<0.05)。この様なVEGFの血管内皮細胞に対する増殖促進作用は、内径<100μmの比較的小さな側副路血管に特異的であった(第60回日本循環器学会総会・学術集会にて発表)。 VEGF治療後の小血管における内皮細胞の増殖促進が実際に側副路発達に寄与しているか否かを確認するために、微小血管造影装置を用いた側副血行路発達の評価を行った。従来の血管造影装置では、側副血行路における微小血管(直径200μm以下)の描出することは困難である。我々は、単色放射光を線源とした微小血管造影装置(空間分解能30μm)を用い、慢性下肢虚血モデルにおける微小側副血管の発達を検討した(一部をCirculationに発表予定:印刷中)。VEGF治療ラットでは、内腸骨動脈より派生した大腿部を潅流する微小血管網の発達が顕著で、対照群に比し有意に増加していた。VEGFの内皮細胞増殖促進作用が側副路微小血管網の発達形成に寄与していることが示唆された(一部を第69回年米国心臓学会にて発表した)。
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