研究概要 |
研究目的:心臓の虚血・再灌流障害の成因としての細胞内Ca^<2+>overloadの機序について、単離心筋細胞の無酸素・再酸素化モデルを用いて検討した。1.無酸素においてforword modeNa^+/Ca^<2+>交換系や筋小胞体によるCa^<2+>の除去が抑制されるかどうか。2.再酸素化におけるreverse mode Na^+/Ca^<2+>交換系活性によるCa^<2+>流入の関与について。 方法:1.心筋細胞の単離。モルモット摘出心をランゲンドルフ法にて、低Ca緩衝液、コラゲナーゼ等で順次灌流後、左室を細切し、酵素溶液にてincubate、濾過法にて心筋細胞浮遊液を得た。2.細胞内Ca^<2+>指示薬としてIndo-1を用いた。心筋細胞は色素負荷後、顕微鏡ステージ上のchamberに置きTyrode溶液にて灌流。Xe励起光は350nmの波長光を用い、蛍光は405,485nmの波長光を用い、光電子増倍管にて蛍光強度比を測定した。0.5Hzの電気的刺激を加え、細胞を拍動させCa^<2+>transientを得た。細胞の収縮性は光学的方法(edge-detection system)によりモニターした。3.Glucose無添加のTyrode溶液に1mM Na_2S_2O_4を加えて無酸素を3分間誘発し、再酸素化を10分間行った。 結果・結論:1.無酸素によりCa^<2+>transientの振幅は減少し、拡張期[Ca^<2+>]iは上昇した。2.再酸素化にて振幅は回復し、拡張期[Ca^<2+>]iはさらに上昇した後、下降傾向を示した。3.無酸素にてCaffeine投与によるCa^<2+>transientの減衰時間は延長し、forword mode Na^+/Ca^<2+>交換系によるCa^<2+>排出の抑制が示唆された。4.また無酸素にてRapid coolingにより発生させたCa^<2+>シグナルのrewarmingによる減衰時間も延長し、筋小胞体によるCa^<2+>摂取能の低下が示唆された。
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